小さく始める新規就農に迷う30代夫婦へ
移住して新規就農を目指すとき、最初にぶつかる壁は「いきなり大金を借りて本当にやっていけるのか?」という不安ではないでしょうか。特に子どもがいる家庭なら、なおさら慎重になって当然です。
私自身も同じ悩みを抱え、

なるべくお金をかけずに、子育てと農業を両立できる方法はないだろうか?
と本を読み漁りました。
そこで気づいたのは、栽培技術の本よりも “どんな暮らしを望み、どういう農業経営をしたいか” を考えさせてくれる本のほうが、始めははるかに役に立つということです。
新規就農は「暮らし方の選択」でもある
農業は単なる仕事ではなく、生活そのものと密接に結びついています。だからこそ、都市の働き方の延長線で考えると苦しくなります。
こうした“暮らしの優先順位”を整理することで、農業の形も自然と見えてくる。今回紹介する3冊は、まさにその整理を手伝ってくれる本ばかりです。
小さく始める農業のヒントになる本3選

《農家が教える自給農業のはじめ方》中嶋正
自給的な農を生活の中に取り入れる方法を、自然卵・イネ・野菜・果樹など具体例とともに紹介している一冊。
「まずは自給から小さく始める」という発想は、新規就農の不安を大きく和らげてくれました。大規模に畑を用意する必要はなく、少ない設備でも暮らしが豊かになることがわかります。
▼ この本から得た気づき
《小さい農業で稼ぐコツ》吉田栄喜
30aで1200万円を達成した家族農業の実例は衝撃的ですが、それ以上に心に残ったのは 家族の役割分担や暮らしの仕組みづくり でした。
規模より価値、体力より仕組み、そして“家族の幸福度”を大事にした働き方は、新規就農者にとってリアルで有益な視点です。
▼ この本から得た気づき
《生き方》稲盛和夫
農業の本ではありませんが、新規就農を目指す人にこそ読んでほしい「経営者としての心の持ち方」の教科書です。農業は最終的に“自分で決める仕事”。その覚悟と姿勢を支えてくれる本です。
▼ この本から得た気づき
3冊を読んで見えてきた“新規就農の本質”

そんなんじゃ家族を養っていけない?という声にどう向き合うか
筆者の率直な意見ですが、新規就農について話すと必ず聞こえてくるのが、

そんな小さい規模で家族を養っていけるの?
という人生の先輩方や現役農家の声です。
しかし——
よく考えてみてください。
いまやサラリーマンでも共働きが当たり前。
“一人が大黒柱となって家族を丸ごと養う”という前提自体が古くなりつつあります。
筆者は別にこれまでも、そしてこれからも夫に“養ってもらおう”とは思いません。
共に生きる、のです。
「お金さえあれば良い」というわけではないので夫婦で就農を選んだのです。
(もちろんお金は必要ですが)
つまり、これをやっていれば正解というものはなく、家族それぞれの形がある、と思うのです。
小さな農業は、短期勝負のビジネスではなく、
夫婦で長期戦を戦うプロジェクト です。
- 初期は夫婦の片方が外で働く
- もう片方が農の基盤づくりに集中
- 収入源を複数にしてリスクを分散
- 自給力が上がれば家計の圧迫が減る
西田さんの著書(小さい農業で稼ぐコツ)には、
夫婦の役割分担がいかに経営の安定につながるか というエピソードが記載されています。
これは、子育てしながら新規就農を考える家庭にとって非常にリアルなヒントになるはずです。
農業は「暮らしのデザイン」でもある
売上を大きくしても、暮らしが崩れれば本末転倒です。
自給を取り入れれば家計が安定し、精神的な余裕も生まれます。
- 食費が減る
- 生活リズムが整う
- 子育てと農業が自然につながる
- 無理のない範囲で販売を伸ばせる
これが、小さな農業の一番の強みです。
いきなり借金しなくても始められる理由
本で学べばわかりますが、最初からフル装備の農地や機械は必要ありません。
- 数坪から始める
- 手作業ベースで覚えていく
- 加工品や直売で小さな売上を作る
- 必要なときに必要な分だけ設備投資する
これならリスクが低く、家族に大きな負担をかけません。
おわりに|新規就農は「自分の人生をつくるプロジェクト」

今回紹介した3冊は、農業技術のハウツーではなく、
「どう生きたいか」「どんな暮らしを作りたいか」
を考えるための本です。
新規就農の不安は、情報不足よりも“判断軸の不足”。
その判断軸を与えてくれるのが、これらの本です。
子育てしながらでも、小さくても、自分たちに合った農業は必ずあります。
一歩ずつ、自分たちのペースで育てていきましょう。


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