はじめに
「新規就農には手厚い支援がある」
わたしたちも、そう考えて自治体の研修制度に参加しました。
実際に制度には多くのメリットがあります。
- 農地を借りやすくなる
- 補助金の対象になる
- 地域からの信用が得られる
新規就農を目指すうえで、非常に有効な仕組みであることは間違いありません。
一方で、実際に制度の中に入ってみて初めて気づく
“前提”や“考え方の違い”もありました。
この記事では、無農薬での就農を目指したわたしたちの経験をもとに、
制度を利用するうえでの注意点と学びを整理します。
新規就農研修制度とは
わたしたちが利用していたのは、自治体が実施する新規就農研修制度です。
この制度の大きな特徴は、
研修修了後に「認定新規就農者」として認定されやすくなる点にあります。
認定されることで
- 経営開始資金などの支援を受けられる
- 農地の確保がしやすくなる
- 地域内での信用が得られる
といった利点があり、多くの就農希望者にとって重要なステップとなっています。
研修は順調に進んでいました
研修1年目は非常に順調でした。
受け入れ農家のもとで実践的な技術を学び、
評価もいただき、当初予定より短期間での修了が見えていました。
わたしたちは研修開始当初から、
無農薬・無肥料での就農を希望していることを伝えていました。
その際、明確に否定されることはなかったため、
将来的に実現できる可能性があると考えていました。
就農計画の段階で見えた“前提の違い”
2年目に入り、就農計画を具体化する段階で、
関係者との間に認識の違いがあることが明らかになりました。
話し合いの中でわたしたちの考えを伝えたところ、
- 研修で学んだモデルとの整合性
- 初期段階での経営の安定性
- 実績としての評価のしやすさ
といった観点から、慎重な意見が示されました。
ここで初めて、
👉 制度としては「既存の成功モデルを基盤にした就農」が前提になっている
ということを、初めて具体的に理解しました。
なぜこのようなズレが生まれたのか
今回の経験を振り返ると、
大きな原因は「前提の共有不足」だったと感じています。
制度は“再現性”を重視
新規就農支援制度は、
できるだけ確実に就農し、継続できる人を増やすことを目的としています。
そのため
- 過去に実績のある方法
- 指導可能な栽培体系
といった「再現性の高いモデル」が重視されます。
これは制度として非常に合理的な考え方であり、
就農初期のリスクを下げるための仕組みでもあります。
わたしたちの理解が不十分だった点
一方で、わたしたちは
- どこまでが自由で
- どこからが制度上の前提なのか
という点を十分に確認できていませんでした。
また、研修初期に言われていた
「先輩農家のような農業を目指してほしい」という言葉についても、
当時は
「基本を学ぶための方向性」
と受け取っていましたが、
実際には
👉 「そのモデルでの就農を前提としている」
という意味合いが含まれていたのだと気づきました。
「否定されていない」ことの受け取り方
もう一つの反省点は、
コミュニケーションの受け取り方にありました。
無農薬について相談した際、
- 「まずは基本から」
- 「今後考えていきましょう」
といった言葉を受け、
可能性が残されていると捉えていました。
しかし実際には
👉 制度の枠組みとしては優先度が低い選択肢だった
ということになります。
ここから学んだのは
👉 「明確に否定されていない=実現可能」ではない
ということでした。
制度を活用するうえでの注意点
今回の経験を踏まえ、これから就農を目指す方にお伝えしたいのは以下の点です。
① 制度の前提を最初に確認する
- 想定されている栽培方法
- 認定の判断基準
- 自由度の範囲
② 関係者ごとに認識を確認する
- 自治体
- 県
- 受け入れ農家
それぞれ立場や判断基準が異なるため、
個別に確認することが重要です。
③ 段階的な計画を持つ
- 初期は安定性を重視
- 徐々に自分たちの方向へ
制度と自分の目標を両立させるためには、
時間軸で考えることが有効です。
④研修を受ける側の態度
自分の考えを伝えるよりも、教わる側の態度が何よりも重要になります。
それでもわたしたちは進みます
今回の経験を通して、
制度の考え方や構造について多くを学ぶことができました。
無農薬での就農は簡単ではありません。
制度との相性もあります。
しかし同時に、
自分たちの目指す農業の方向性もより明確になりました。
どのように農に携わっていきたいのか話す、よい機会になりました。
まとめ
- 新規就農研修制度は非常に有効な仕組みです
- 一方で「再現性」を重視する前提があります
- 認識のズレは早期に確認することが重要です
- 自分の方向性との整合性を見極める必要があります
そして何より
👉 制度を理解したうえで、自分たちの進み方を選ぶこと
これが、今回わたしたちが得た最も大きな学びです。


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