
認定新規就農者の認定を受けてからでないと、農業は始められない
そう思っている方は意外と多いものです。しかし、実際には認定はゴールではなく、行政支援を受けるための「チケット」に過ぎません。
むしろ、認定を受ける前の「準備期間」にどこまで動けているかが、その後の経営の成否を分けるかもしれません。今回は、認定前に「やっていいこと」と「注意すべきこと」を整理します。
認定前でも「できること」:準備を加速させる4つのアクション
認定を待たずに着手できることはたくさんあります。これらを先行して行うことで、「青年等就農計画」の説得力も格段に上がります。
① 農地の確保(賃借・利用)
農地の取得(売買)はハードルが高いですが、「借りる(賃借)」ことは認定前でも可能です。
- 農地法3条許可: 認定新規就農者であることは必須条件ではありません。
- ポイント: 地域の農業委員会や地主さんとの信頼関係が重要です。「将来的に認定を受ける意思」を明確に伝え、研修中から相談を始めましょう。
② 試験販売・直売(マーケティング)
「作ってから売る」のではなく、「売れることを確認してから作る」ことで安心感を得られます。
- 活動例: 直売所への少量出荷、マルシェ・イベント出店、知人へのSNSを通じた販売。
- メリット: 価格帯や売れ筋、出荷の現実的な手間を把握できます。これは計画書の「売上根拠」として最強のデータになりますね。
③ 実際の栽培・技術習得
認定は「栽培許可」ではありません。
- 場所: 研修先の圃場、借りた小規模な農地、家庭菜園規模でも問題ありません。
- 目的: 自分の狙う品目が、その土地の気候や自分の体力に合っているかを検証しましょう。
④ 経営スキルの学習と相談
農業は「経営」です。現場作業以外にやるべきことは山積みです。
- アクション: 青色申告の勉強、農業経営簿記の学習、自治体の普及指導センターへの相談。
- 重要性: 「数字に触れているかどうか」で、行政担当者のあなたを見る目が変わります。
認定前に「できない・注意が必要なこと」:失敗を避ける3つのポイント
焦って動くと、後から受けられるはずの支援が受けられなくなるリスクがあります。
① 補助金・資金の受給(経営開始資金など)
「新規就農者育成総合対策(経営開始資金)」などの主要な補助金は、認定後でないと受給できません。
- 対策: 自己資金が尽きる前に認定が下りるよう、資金が必要なタイミングから逆算して申請スケジュールを組みましょう。
② 「認定新規就農者」の肩書き使用
名刺や看板、公的な申請書類に「認定新規就農者」と記載できるのは、認定書が交付されてからです。
- アドバイス: 準備期間中は「就農予定者」や「就農準備中」という表現を使いましょう。これで信頼を損なうことはありません。
③ 大規模な設備投資(重要!)
ハウスの建設や高額な機械の導入には注意が必要です。
- リスク: 補助金を活用する場合、「交付決定前に契約・着工したもの」は対象外になるのが鉄則です。
- 対策: 大きな買い物は、認定を受け、補助金の採択通知が届くまで待つのが賢明です。
認定前だからこそ、やっておくべき準備リスト
認定後のスタートダッシュを決めるために、以下の準備を整えておきましょう。
経営・事務面
- 家族経営協定の素案: 家族で農業を始めるなら、役割分担と休日、報酬を明確にしておきましょう。
- 帳簿を「つける練習」: 研修期間中の支出も、開業準備費として計上できる場合があります。
販売・栽培面
- 売り先候補のリスト化: 「誰が買ってくれるか」のリストを具体的に作ります。
- 作付面積の現実把握: 自分の体力が、計画している面積に耐えられるかをシビアに見積もります。
まとめ:認定前に何をするか
認定新規就農者になる前の期間は、何もできない空白期間ではありません。 むしろ、「農地をどう使うか」「何をどこで売るか」「数字をどう作るか」を試し、失敗できる唯一の自由な時間です。
私たちも、限られた時間の中でできるだけのことをしていきたいと思います。
認定は、「準備が整ってきた人が、行政支援のレールに乗るための手続き」です。 「認定されたら動く」のではなく、「動いているから認定される」という意識で、今日から一歩踏み出してみましょう。


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