2026年4月、北海道時代にお世話になった友人夫婦が、香川に住む私たちを訪ねてきてくれました。
ご夫婦は、アメリカ人の旦那さんと北海道出身の奥さん。
もともとは夫の母の友人で、私たちが北海道で暮らしていたころには、自宅に招いてくださったり、薪を分けてくださったり、本当にたくさんお世話になった方たちです。
特に夫と旦那さんは、無類のチェーンソー好き。
「チェーンソー仲間」と言っていいくらい、木や道具の話で盛り上がる関係です。
今回はそんなお二人が、はるばる北海道から香川まで来てくださいました。
私たちにとっても、「自分が暮らしている町を案内する」という少し特別な一日になりました。
朝うどんから始まる香川旅
当日は雨予報。
「せっかく来てくれたのに雨かあ」と少し心配していましたが、11時ごろに集合すると、徐々に雨が止み、空には晴れ間も見えてきました。
さすが香川。
しかもお二人は、朝一番ですでに讃岐うどんを食べてきたとのこと。
「もうお腹いっぱい!」と言いながら現れたのが、なんとも香川らしいスタートでした。
今回は、善通寺市内の駐車場にレンタカーを停めてもらい、そこから歩いて善通寺を巡ることに。
善通寺は、四国八十八ヶ所霊場の第75番札所として知られるお寺です。
弘法大師・空海の誕生地としても有名で、香川県内でも特別な空気を感じる場所のひとつだと思います。
善通寺の御影堂から参拝スタート

平日の善通寺は静かでゆったりしていた
まず向かったのは御影堂。
平日だったこともあり、人は少なく、境内にはゆったりとした空気が流れていました。
観光地というより、地域の人の祈りの場所。
そんな落ち着いた雰囲気があります。
記念写真を撮ったあと、胎内巡りへ向かいました。
真っ暗な胎内巡りで感じる不思議な感覚
胎内巡りの中は、完全な暗闇。
撮影は禁止です。
壁を手探りで進みながら、お大師様の胎内を巡るような体験をします。
目が使えなくなると、不思議なくらい感覚が変わります。
「次はどこに進むんだろう」
そんな少しの不安と静けさの中を進んでいくと、途中でふっと光が現れ、お大師様にまつわるお話を見ることができます。
出てきたあとは、宝物館へ。
仏像の“顔の違い”を見比べる時間が面白かった
宝物館には、たくさんの仏像が展示されています。
見学しながら自然と始まったのが、
「どの仏像が一番好きか」
という話。
柔らかく女性的な顔立ちのものもあれば、厳しく力強い表情のものもあり、それぞれ印象がまったく違います。
同じ仏像でも、人によって惹かれるものが違うのが面白く、つい時間を忘れて見入ってしまいました。
老舗菓子店「熊岡菓子店」の昔ながらの空気

外国人には少し難しい注文スタイル?
五重塔へ向かう途中、立ち寄ったのが善通寺の老舗和菓子店「熊岡菓子店」。
昔ながらのお店で、メニュー表はありません。
ショーケースを見ながら、
「これを何個ください」
と口頭で注文していくスタイルです。
今ではなかなか見かけない、昔ながらの対面販売。
外国人観光客には少しハードルが高そうですが、この日は後ろに並んでいた海外のカップルが、ショーケースを指さしながらパウンドケーキを購入していました。
店の前を通るたび、バターのいい香りが漂ってくるので、私もいつか食べてみたいと思っています。
花手水が美しかった薬師堂

春の善通寺を彩る花手水
薬師堂の前では、花手水が行われていました。
色とりどりの花が水面に浮かび、とても華やか。
雨上がりだったこともあり、水の透明感がより際立って見えました。
お寺の静けさと花の鮮やかさが合わさって、春らしい景色になっていました。
英文解説もあり、外国人観光客にもやさしい
薬師堂の内部には、大きな仏像があります。
近くで見ると、細かな装飾や表情の繊細さに驚かされます。
まさに職人技。
また、英語の解説文も設置されており、
- なぜ善通寺が建てられたのか
- 弘法大師との関係
などを知ることができます。
海外の方にもわかりやすい配慮がされていて、外国人の友人夫婦もじっくり読んでいました。
そして最後は五重塔の前で記念撮影。
春の柔らかい光の中で見る五重塔は、何度見ても美しいです。
レトロ喫茶「ブーケ」でランチ

昔ながらのスパゲッティが落ち着く味
お昼は、善通寺の五重塔近くにある「喫茶 ブーケ」へ。
ご夫婦で営まれている、昔ながらの喫茶店です。
店内には常連さんらしき方もいて、地域に愛されている空気を感じました。
今回はスパゲッティのランチを注文。
どこか懐かしい味で、観光地のおしゃれカフェとはまた違う安心感があります。
こういうお店が残っているのも、善通寺の魅力のひとつかもしれません。
DIY中の古民家へ招待

北海道で家をセルフビルドしたご夫婦
その後は、改修中の私たちの家へ。
実はお二人、北海道でアメリカから資材を取り寄せ、友人や家族と協力しながら、自宅をほぼ一から作り上げた経験があります。
以前何度かお邪魔したことがありますが、明るいテラスが印象的な、とても素敵なお家でした。
そんなお二人に、今の私たちの古民家改修を見てもらえたのは、すごく嬉しい時間でした。
「やれば終わるから」
改修中の家を見ながら、お二人は、
「やれば終わるから、大丈夫」
と笑顔で声をかけてくれました。
その言葉だけで、不思議と少し気持ちが軽くなります。
さらに、ご主人は以前、社会人経験を経てアメリカの大学院へ進学した経験があり、その時代はかなりお金に苦労したそうです。
でも、その経験が今につながっていると話してくれました。
そして最後に言ってくれたのが、
「貧乏は、勉強です」
という言葉。
満面の笑みでそう話す姿が、とても印象的でした。
暮らしを作ることも、学ぶことも、きっと遠回りに見える時間が必要なのかもしれません。
陸軍墓地で手を合わせる

最後は、陸軍墓地の中にある捕虜の方のお墓へ。
静かな場所で、みんなで手を合わせました。
国も言葉も違うけれど、こうして祈る時間を共有できることに、不思議な縁を感じます。
自分の町を案内して感じたこと
今回、あらためて自分が暮らしている町を案内してみて感じたのは、
「自分はまだ、この町のことを全然知らない」
ということでした。
歴史や文化について聞かれても、うまく答えられない場面がたくさんありました。
普段暮らしていると見過ごしてしまうけれど、善通寺には長い歴史や文化があります。
移住して終わりではなく、これから少しずつ、この土地のことを学んでいきたい。
そんなことを感じた春の一日でした。


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